管理料の中身を、契約書と報告書で確かめる8つのこと


賃貸オーナーの"買った後"を守る、管理のヒント


毎月の収支報告書で、いつも引かれている項目があります。管理料です。

では、その管理料が何の対価なのか。ひと言で説明できるでしょうか。

「契約書は、最初に一度見たきり」。「毎月同じ金額なので、明細はあまり見ていない」。そういう大家さんは、めずらしくありません。

この記事では、管理料(管理委託料)に何が含まれているのかを、契約書と報告書で確かめる8つのことを実務の目線で整理します。

こんな大家さんに向けた記事です。

  • 毎月の管理料が、何の対価なのかを説明できない
  • 管理委託契約書は、契約したとき(または相続したとき)に一度見たきり
  • 毎月届く収支報告書の、どこを見ればいいのか分からない
  • 今の管理料が妥当なのか、ほかの管理会社とどう比べればいいのか分からない

先に結論をお伝えします。管理料は、高いか安いかより先に「何が含まれているか」を確かめるものです。確かめる場所は、お手元の管理委託契約書と、毎月届く報告書の2つです。比べるときは「家賃の何%か」ではなく、含まれる範囲と、1年間に実際に払った合計で比べます。

なぜ「金額」より「中身」なのか

賃貸経営の手残りは、「どんな物件を買うか」だけでは決まりません。買った"後"、何を、どこまで任せているかで変わります。

管理料は毎月、自動的に引かれます。金額が変わらないので、中身を確かめる機会がありません。その結果、次のようなことが起きます。

  • 含まれていると思っていたことが、実は別料金だった
  • 頼めばやってもらえたことを、頼んでいなかった

ここで問題にしたいのは、特定の管理会社が悪い、という話ではありません。敵は"人"ではなく、「委託の中身を確かめないまま払い続けている状態」という構造です。

管理料の金額そのものより、中身を知らないまま払い続けている状態のほうが、高くつくことがあります。

管理料について、契約書と報告書で確かめる8つのこと

用意するものは2つです。管理委託契約書(とくに業務内容の欄)と、直近の収支報告書です。契約書が手元にない場合は、今の管理会社に写しを依頼できます。

① 「含まれるもの」と「別料金のもの」を書き出す

まず、契約書の業務内容の欄を見て、2つに分けて書き出してください。

管理料に含まれることが多いもの

  • 入居者からの連絡の一次受付(クレーム対応の窓口)
  • 家賃の入金確認
  • 毎月の収支報告

別料金になっていることが多いもの

  • 清掃
  • 建物の点検
  • 修繕工事

範囲は契約によって違います。同じ「管理料」という名前でも、何が入っているかは会社や契約ごとに異なります。だからこそ、一度紙に書き出す意味があります。

書き出してみて、どちらに入るのか契約書から読み取れない項目があれば、そこが今の管理会社に確かめておきたい点です。

② 管理料は「率」ではなく「1年間の合計」で比べる

管理料を比べるとき、つい「家賃の何%か」だけを見てしまいます。ですが、率が低くても、別料金の項目が多ければ、1年間の支払いは増えます。

おすすめは、別料金の請求を1年分並べて、管理料と足してみることです。手順は次の3つです。

  1. 報告書の支出の欄から、管理料を12か月分拾う
  2. 同じく、清掃費・点検費・修繕費・出張費など、管理会社経由の別料金を12か月分拾う
  3. 2つを足して、1年間に実際に払った合計を出す

比べるべきは率ではなく、含まれる範囲と、1年間に実際に払った合計です。ほかの管理会社の案内と比べるときも同じです。率だけを並べず、①で書き出した「含まれるもの/別料金のもの」を同じ表にそろえてから比べてください。

③ 毎月の報告書は「3つの欄」で読む

収支報告書は、多くの場合3つの欄でできています。

収支報告書の3つの欄

収入の欄:部屋ごとの賃料・共益費・駐車場代。空室や未入金があれば、ここに表れます。

支出の欄:管理料・清掃費・修繕費。修繕費に見積書や領収書が添付されているかを見てください。

送金額の欄:収入から支出を引いた額。通帳に入った金額と一致しているかを確かめます。

読む順番は、収入、支出、送金額です。毎月すべてを細かく読み込む必要はありません。まずは先月の1枚で、3つの欄がどこにあるかを確かめるところから始めてください。

④ その報告書は、確定申告の資料として使える形ですか

毎月の報告書が12か月分そろえば、1年間の家賃収入と、管理会社経由で払った費用がまとまります。税理士さんにそのまま渡せる形になっているかを確かめてください。

年が明けてから通帳をさかのぼって計算する作業は、報告書の形しだいで、かなり減らせます。

なお、どの費用をどう申告するかといった税務の判断は、税理士さんにご確認ください。この記事で扱うのは、報告書の「形」を確かめるところまでです。

⑤ 家賃の滞納は、いつ・どうやって知らされますか

家賃保証会社(入居者の家賃の支払いを保証する会社)に加入している物件では、入居者の支払いが遅れても、オーナーへの送金は遅れにくい仕組みになっています。

それでも、「どの部屋で、何が起きているか」はオーナーが知っておくべき情報です。送金が止まらないぶん、気づくきっかけが少ないこともあります。

滞納が起きたとき、いつ、どの書類で知らされるのか。一度確認しておくと安心です。③の報告書の収入の欄に、未入金が表れる形になっているかもあわせて見てください。

⑥ 2年ごとの更新手続きは、どこまで任せられていますか

賃貸借契約は2年ごとに更新を迎えることが多くあります。更新のときに発生する主な作業は、次のとおりです。

  • 満了前の、入居者への案内
  • 家賃などの条件の調整
  • 更新料や火災保険料の受け取り
  • 書類の取り交わし
  • 結果のオーナーへの報告

これらが管理料の範囲か、別の手数料がかかるのか。そして結果がどう報告されるのかを確かめてください。更新は2年に一度なので、①で書き出すときに漏れやすい項目です。

⑦ 入居審査の基準を、誰がどう決めていますか

入居の申し込みが入ると、家賃保証会社の審査を経て、オーナーの承諾のうえで契約に進むのが一般的な流れです。

ここで大事なのは、断る基準を決めているのは誰かです。間口を狭めるほど、空室は長引きます。

国籍や年齢で一律に線を引くより、日本語で連絡が取れるか、緊急連絡先があるかといった条件で受ける考え方もあります。基準が管理会社任せになっていないか、一度話し合っておきたい点です。

⑧ 法定点検は、いつ・いくらかかりますか

建物によっては、消防用設備の点検のように、法律で定期的な点検が求められるものがあります(法定点検。対象になるかどうかは、建物の規模や設備によります)。これは管理料とは別に費用がかかるのが一般的です。

年に何回、いつごろ、いくらの見積が来るのか。年間の予定として把握しておくと、「急に請求が来た」が減ります。②で出す1年間の合計にも、忘れずに入れてください。

知らないうちの損(一般的な試算)

たとえば、小さな修繕のたびに1回約1.5万円の出張費がかかる契約で、それが年に6回あれば、年間約9万円です。

この金額は、管理料の率を比べても見えてきません。②のように1年分を並べて、初めて見える数字です。

※金額は一例・一般的な試算です。物件・地域・契約内容により異なります。

分からない項目は、今の管理会社に聞いてみる

管理料が高いから悪い、安いから良い、という話ではありません。払っているものの中身が分かっていれば、それは納得できる支出です。

今日やっていただきたいのは、契約書の業務内容の欄と、先月の報告書を並べて見ることです。分からない項目があれば、今の管理会社に聞いてみてください。たとえば、次のような聞き方があります。

  • 「この管理料には、どの業務が含まれていますか」
  • 「別料金になるのは、どの作業ですか。1回あたりいくらですか」
  • 「滞納が起きたら、いつ、どの書類で知らせてもらえますか」
  • 「更新の手続きは、管理料の範囲ですか」
  • 「法定点検の時期と、見積が届く時期を教えてください」

それで答えが返ってくるなら、問題はありません。

判断の基準は、払っている金額に対して、何をしてもらえているかが分かるかどうか。そこだけです。

まとめ:8つのうち、引っかかった項目はありましたか

  1. 「含まれるもの」と「別料金のもの」を書き出す
  2. 管理料は「率」ではなく「1年間の合計」で比べる
  3. 毎月の報告書は「3つの欄」で読む
  4. 報告書が、確定申告の資料として使える形か
  5. 家賃の滞納は、いつ・どうやって知らされるか
  6. 2年ごとの更新手続きは、どこまで任せられているか
  7. 入居審査の基準を、誰がどう決めているか
  8. 法定点検は、いつ・いくらかかるか

引っかかった項目があったなら、今の契約で確かめておく価値のあるところです。「今の管理のままで大丈夫か」を詳しく知りたい方は、無料のセルフ診断からどうぞ。契約・報告・募集の設問が入った10問で、今の管理の状態を客観的に見直せます。

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よくある質問(FAQ)

Q1. 管理委託料(管理料)には、何が含まれていますか?

A. 契約によって異なります。一般的に含まれることが多いのは、入居者からの連絡の一次受付、家賃の入金確認、毎月の収支報告です。清掃、建物の点検、修繕工事は別料金になっていることが多い項目です。正確な範囲は、お手元の管理委託契約書の業務内容の欄でご確認ください。

Q2. 管理料の相場は、家賃の何%くらいですか?

A. この記事では、料率の目安はお示ししていません。管理料に含まれる範囲が契約ごとに違うため、率だけを並べても比較になりにくいからです。比べるときは、含まれる範囲と、別料金も足した1年間の合計で比べることをおすすめします。

Q3. 収支報告書は、どこから見ればいいですか?

A. 収入の欄、支出の欄、送金額の欄の3つに分けて見てください。収入の欄で空室や未入金を、支出の欄で修繕費に見積書や領収書が添付されているかを、送金額の欄で通帳に入った金額と一致しているかを確かめます。

Q4. 管理料の中身について、今の管理会社に質問しても大丈夫でしょうか?

A. 委託している業務の範囲を確かめるのは、オーナーとして自然なことです。「この管理料に含まれる業務はどれですか」「別料金になるのはどの作業ですか」と聞いてみてください。契約書が見当たらない場合は、写しを依頼することもできます。

※本記事は一般的な情報提供です。管理の範囲や費用は契約によって異なります。数字はいずれも一例・一般的な試算であり、物件・地域・契約により結果は異なります。契約内容はお手元の管理委託契約書をご確認ください。税務を含む個別の判断については、税理士などの専門家にご相談ください。

賃貸オーナーの"買った後"を守る。株式会社B.D.M


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